導入事例

 
「清水建設技術研究所本館」の省エネ・快適運用の推進
「幕張テクノガーデン」の省エネルギー改修
『黒龍芝公園ビル』リニューアル計画

『清水建設技術研究所本館』の位置情報を活用した省エネ・快適運用の推進

清水建設技術研究所本館(外観)

【 建物概要 】
建設 : 東京都江東区越中島3丁目
: 地上 6階
: 鉄骨造 一部コンクリート造
免震構造
: 事務所(技術研究所本館)
建築面 : 1,919m²
延べ面 : 9,634m²
: 2003年10月
設計 : 清水建設株式会社一級建築士事務所
施工 : 清水建設株式会社

一次エネルギー消費量1,071 MJ/(m2・年)を実現

 「第16回空気調和・衛生工学会特別賞“十年賞”」受賞

在館者の位置情報を各種最適化制御に活用、スマートBEMSを用いたファインチューニングの実施、在館者全員によるカーボンダイエット活動の実施などにより省エネ・快適性の維持・改善を実現

 持続可能な社会に求められる環境配慮型建築を目指して計画された清水建設技術研究所本館は、図-1に示すような多くの環境負荷低減技術を実装しています。竣工後12年を経過しましたが、竣工当初から詳細な測定・検証を重ねながら最適な運用を継続推進してまいりました。
 大きくは3つの省エネ・快適運用を行っています。

【 図-1 導入した技術の特徴 】

図表1


①位置情報を利用した無駄のない省エネ・快適運用

【 図-2 PHS位置情報利用のビル管理システム 】
図表2

 本建物には竣工当初よりPHSを使った図-2に示すような位置情報利用の制御を導入しています。建物内には空調・照明のゾーン単位でPHS受信アンテナを配置していますが、ビル管理システムでは構内電話交換機のデータからリアルタイムで各ゾーンの在席人数を把握しています。この情報を外気導入量の最適化、就業時間以外の照明消灯、空調停止制御に利用することで、在席人数に応じた無駄のない省エネ制御を可能としています。
 外気導入量最適化制御を行うことで、図-3に示すように年間消費エネルギーの12.9%を削減することに成功しています。また、就業時間外照明・空調の停止制御では対象時間の電力量の13%省エネに寄与しています。


【 図-3 省エネ削減量の内訳分析 (2004年度) 】
図表3

 また、2010年10月からは4階執務スペースの一部(約320㎡)にRFIDタグを使った位置情報利用制御システムを追加導入し、個人席上部のLED照明の明るさと床パーソナル吹出口の開閉を個人単位で自動制御する取組みも開始しました。これにより個人単位のきめ細かな制御をすることによって在席者の望ましい光・温熱環境を提供する一方、不在位置では無駄なエネルギーを使わない最適な制御を実現しました。

 図-4は4,5階の在席者数がほぼ同等の1日の照明電力推移を示していますが、従来通りのHf照明点灯方式の5階に比して、RFIDタグ制御を採用した4階ではこまめな照明ON-OFFと自動調光が行われており、78%電力量減と大幅な省エネを実現しました。


【 図-4 在席人数と照明電力量の推移(2010.10.25) 】

図表4


②スマートBEMSを使った節電ファインチューニングの実施

【 図-5 スマートBEMS概念図 】
図表5

 2010年10月にBCPと空調制御の最適運用を主眼にマイクログリッドとデマンドレスポンスを統合制御するスマートBEMSを追加設置しました。(図-5)
 デマンドレスポンスは予測最適化制御とリアルタイムデマンドレスポンスの2段階より構成しています。翌日の時間毎電力需要予測を行い、その結果に基づき蓄熱槽を活用して必要な冷房熱負荷を満足しつつ電力ピークを上げないように、空冷HPチラー・氷蓄熱ヒートポンプ・蓄電池の最適運転計画を立案し、買電を節電目標以下に抑えるように制御します。マイクログリッドでは太陽光発電による電力を100%自家消費した上で、買電変動に対し蓄電池の速い応答特性を活かして必要電力を放電して需用電力をピークカットしています。
 図-6は本制御を行った日の時間経過の電力を示していますが、蓄電池からの適切な放電を行い電力ピークを抑制し買電目標350KW以下を実現しています。これらの運転実績から570KWとしていた契約電力を500KWに変更し、経済的にも有効性を実証することができました。


【 図-6 消費電力の内訳の経時変化 】

図表6


③全員でのカーボンダイエット活動の推進と継続

 表-1は年度毎に進めてきた低炭素化活動の実施内容を示しています。これにより技術研究所の業務活動全体から排出されるCO2の20%削減を実現しました。

【 表-1 カーボンダイエット活動の具体的実施内容 】

表1

 この3つの施策による長期運用実績を見てみると、図-7に示す年度毎の用途別電力消費量に示すように、2007年、2010年の猛暑で大きな数値となった年はあるものの、全体として“カーボンダイエット活動”開始後の2008年以降、総電力量は次第に減少させることが出来ました。
 また、図-8に電力・ガス由来の1次エネルギー消費量の年度推移を示していますが、2014年度には最小値の 1,071MJ/(m2・年)に抑えることが出来ました。この値は日本サステナブル建築協会のデータベースDECCによると、関東のオフィスビルの上位5%以内に入る高い省エネを実現しました。

【 図-7 本館用途別電力消費量 】

図表7


【 図-8 長期の1次エネルギー消費量推移 】

図表8